ヒストリエ7巻
November 26, 2011 at 10:32 PM | View Commentsヒストリエ7巻が発売されていたので購入しました。
表紙はイッソスの戦いの壁画(と、されている壁画?)のアレクサンドロス3世。
岩明均はギリシア人の物語であっても、「寄生獣」のころの日本人とまったく変わらないキャラクターの外見を描くあたりが偉い。主人公のエウメネスなんてシンイチそのものですからね。
アレクサンドロス3世も6巻の表紙のように
壁画や彫刻とは似てない岩明絵の外見で描いているので、あえて壁画のアレクサンドロス3世を持ってくるとは意外でした。
しかもカバーの後ろ書きでは、アレクサンドロス3世について「眼は多分、大きかったであろう。」と書いているし、、、、。
なにか作家の心の闇を覗いてしまったような気がしました。
オリュンピアスとフィリップス2世との対立を描くための伏線と思いますが、「実は俺も描こうと思えば似た絵も描けるんだぜ!」的な何かだったら嫌だな、、、、。
オリュンピアス
岩明均といえば、淡々とした残虐表現が素晴らしいのですが、そっち方面の主役になりそうなオカルト蛇女であるアレクサンドロス3世の母親オリュンピアスがさっそく活躍してます。
彼女に殺されたアレクサンドロスの本当の父?の生首が9ページに渡って大蛇に飲み込まれるシーンは岩明節全開です。
彼女のターゲットになるアッタロス娘が非情に可愛らしいキャラクターになっているところも大いなる伏線(悪意)を感じます。
英雄カレス
最後の方でアテネの将軍「英雄カレス」が登場します。
彼はフィリップス2世がギリシア統一を果たす「カイロネイアの戦い」のアテネ側の主役になるのですが、小物感漂うキャラクターとして描かれてました。
彼について
15年ほど前(BC355)、アテネ軍を率いてペルシアの大軍を打ち破った
という表現があったので調べてみたところ、これは「ペルシアのアルタバゾスの反乱を助けた」ことのようです。
ギリシアに侵略するペルシア軍を打ち破った、、、なら、確かに英雄だったのでしょうが、アテネとペルシアが和平条約を結んでいるときに金のためにペルシアの内乱に、しかも反逆者の方へ加担したようです。なんとも微妙な話ですね。
しかし、アルタバゾスというのはなかなか面白い人物のようです。
アルタバゾス
まだ物語に出てきませんが、アルタバゾスは物語に大きな影響を与えそうな人物のようです。
1巻に登場するバルシネはアルタバゾスの娘であり、メムノンは彼の部下だったようです。
アルタバゾスはカレスに助けてもらった反乱に失敗した結果、マケドニアに亡命していたのでバルシネもメムノンもマケドニアにいたことがあったようです。ただし、数年で許されてペルシアに戻りました。
1巻でバルシネとメムノンが
「次に海峡を渡ってくるのは多分、、哲学者じゃないわね」 「あの男か?」 「うん、あの男」
と、フィリップス2世を知った感じだったのはマケドニアにいたことがあったからだったのですね。。
実際に渡ってきたのは息子の電波男の方でしたが、、、、
また、後の話になりますが、
- アレクサンドロス3世によりペルシア帝国が崩壊した後、アルタバゾスはアレクサンドロス3世に仕えバクトリア総督になるのですが、老齢を理由に引退を申し出ます。アレクサンドロス3世は後任に黒のクレイトスを任命し、祝宴を開くのですが、酔ったあげくに口論になりアレクサンドロス3世によるクレイトス刺殺事件が発生。
- エウメネスはアルタバゾスの娘(バルシネの妹)とアレクサンドロス3世が企画した例の合同結婚式で結婚するので義理の父親になる(そのころはアルタバゾスは亡くなっていたと思われるが)。
- ディアドコイ戦争時期のヘレスポントスの戦いにおいて、エウメネスはマケドニア人に絶大な人気があったクラテロスを仕留めるのにクラテロスを知らない外国人騎兵をつかいます。それを指揮したのがアルタバゾスの息子のファルナバゾス。例の合同結婚式はアレクサンドロス3世の死後は大抵破局したらしいのですが、妻の兄の協力を得たりしているあたりエウメネスとアルタバゾス娘は仲良くやっていたのかも知れませんね。
と、他にもいろいろエピソード満載のようです。
ヒストリエはいろいろ深読みできるので1冊買っただけで、かなり長い時間楽しめるのが素敵です。
エウメネスもアンティパトロスと仲良くしていれば良かったのにね。

