イチローはなぜ四球が少ないと批判されるのか?
October 10, 2010 at 12:36 AM | View Comments10年連続で200本安打という史上初の偉業を達成したイチロー。素晴らしい。
海外のメディアも偉業を称えてるが、一方で、
- 四球が少ない
- 内野安打が多い
と、批判する内容も多い。
日本の野球解説を見て「四球が少ない」という話題はほとんど聞いたことがないので不思議に思っていました。
調べると2000年代に入り、金欠球団アスレチックが選手評価にセイバーメトリクスという統計学を用いた手法を取り入れ成功したこと、また、その手法が「マネーボール」という本で広く紹介されたことにより、それまで注目されていなかった四球数が重要視されるようになった結果とのことだ。
アスレチック流セイバーメトリクスは
- 打率の高い選手のサラリーは高額なので、四球数が多く出塁率の高い選手を安く獲得
- 送りバント厳禁
- 盗塁厳禁
という特徴がある。
2000年代のアスレチックは、レギュラーシーズンにおいて金持球団ヤンキーズ並の成績を収めたことにより、他の球団も四球に注目するようになった(サラリーが高騰した)ということだ。
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イチローは打率よりも安打数を何より重視しているので、安打数+四球で調べてみる。
すると、最多安打だったイチローが8位まで下がってしまう。
No Name TEAM H BB H+BB AVG 1 A Pujols STL 183 103 286 0.312 2 A Gonzalez SD 176 93 269 0.298 3 M Cabrera DET 180 89 269 0.328 4 J Votto CIN 177 91 268 0.324 5 P Fielder MIL 151 114 265 0.261 6 D Barton OAK 152 110 262 0.273 7 N Markakis BAL 187 73 260 0.297 8 I Suzuki SEA 214 45 259 0.315 9 B Butler KC 189 69 258 0.318 10 R Cano NYY 200 57 257 0.319 H 安打数 BB四球 AVG 打率
イチローの四球はわずか45。ところが、日本でも活躍したフィルダーの息子は114もの四球を選んでいる。イチローが苦心して200本の安打を打つのに対し、その半分も四球を選んでいる、これはかなり大きい。
ちなみに四球ベスト10はこちら
No Name TEAM H BB H+BB AVG 1 P Fielder MIL 151 114 265 0.261 2 D Barton OAK 152 110 262 0.273 3 A Pujols STL 183 103 286 0.312 4 J Bautista TOR 148 100 248 0.260 5 A Gonzalez SD 176 93 269 0.298 6 M Teixeira NYY 154 93 247 0.256 7 B Zobrist TB 129 92 221 0.238 8 J Votto CIN 177 91 268 0.324 9 J Heyward ATL 144 91 235 0.277 10 M Cabrera DET 180 89 269 0.328 H 安打数 BB四球 AVG 打率
打率3割が3人であとの7人は2割。7位のB Zobristの打率は.238しかないのにもかかわらずベスト10に入っている。お買い得な選手なのかもしれない。
故障せずに全試合出場するというのはイチローの美学なのだが、やはり絶対数より率で見たほうが公平に評価できる。次に50試合以上出場していて80本以上ヒットを打っている選手の出塁率を調べる。
No Name TEAM G H BB H+BB AVG OBP 1 J Morneau MIN 81 102 50 152 0.345 0.437 2 J Votto CIN 150 177 91 268 0.324 0.424 3 M Cabrera DET 150 180 89 269 0.328 0.420 4 A Pujols STL 159 183 103 286 0.312 0.414 5 J Hamilton TEX 133 186 43 229 0.359 0.411 6 K Youkilis BOS 102 111 58 169 0.307 0.411 7 J Mauer MIN 137 167 65 232 0.327 0.402 8 P Fielder MIL 161 151 114 265 0.261 0.401 9 S Choo CLE 144 165 83 248 0.300 0.401 10 C Ruiz PHI 121 112 55 167 0.302 0.400 G試合数 H安打数 BB四球 AVG打率 OBP出塁率
フィルダーの息子はここでも8位にランクイン。あまりの肥満のために体型にはこだわらないアスレチックですらドラフト対象からはずしたといわれるフィルダー息子は超一流バッターに成長したことが伺える。
1位のMorneauは試合数が81試合と少ないが、162試合出れば204安打、100四球とリーグトップになる、、。しかし、休み休み使えばいいのでこれでいいのかもしれない。
さて、ここで注目は「マネーボール」で「四球のギリシア神」といわれた K Youkilis。安打数は111とイチローの半分、打率3割を超えてはいるがそれほど目立つほどではない、しかし、セイバーメトリクスで最も重要視される出塁率で6位と期待通りの仕事をしているのがわかる。
さて、イチローはというと、、、なんと60位。四球の少なさが出塁率を大きく下げる結果になっている。ちなみにこれは同じ日本人選手の41位の福留、57位の松井よりも下だ。
No Name TEAM G H BB H+BB AVG OBP 41 K Fukudome CHC 130 94 64 158 0.263 0.371 57 H Matsui LAA 145 132 67 199 0.274 0.361 60 I Suzuki SEA 162 214 45 259 0.315 0.359
福留、松井両名とも良いシーズンでなかったといわれるが、両名ともそれなりの成績を収めていたことがわかる。
<追記> リードオフマンの出塁率はそれほど高くないのでは?という意見が多かったので、各球団の1番打者の出塁率をしらべてみました。
結果を言うと、1番打者のなかではかなり良い出塁率でした。
<追記おわり>
さて、セイバーメトリクスといえばアスレチックだったのだが、ここ数年、セイバーメトリクスで好調な成績を収めている球団はなんと言ってもレッドソックスだ。
レッドソックスはアスレチックと違い、盗塁などの機動力を重視する。そしてアスレチック同様、四球と長打力を重視する。
そんなアスレチックの評価の一つに第二の打率というのがある。
(累打数 - 安打+四球+盗塁)/打数
塁打数というのは シングルヒット + 2塁打 * 2 + 3塁打 * 3 + ホームラン * 4
なので、塁打数 - 安打 はシングルヒットを無効にした数値(長打力を測定するため)、それに四球と盗塁を付与したものだ。
同じく 50試合以上、80本以上ヒットで算出すると、、、
No Name TEAM G H BB SB H+BB AVG OBP AVG2 1 J Bautista TOR 161 148 100 9 248 0.260 0.378 0.55 2 A Pujols STL 159 183 103 14 286 0.312 0.414 0.48 3 J Votto CIN 150 177 91 16 268 0.324 0.424 0.47 4 M Cabrera DET 150 180 89 3 269 0.328 0.420 0.46 5 J Morneau MIN 81 102 50 0 152 0.345 0.437 0.44 6 K Youkilis BOS 102 111 58 4 169 0.307 0.411 0.43 7 D Ortiz BOS 145 140 82 0 222 0.270 0.370 0.42 8 P Fielder MIL 161 151 114 1 265 0.261 0.401 0.41 9 A Dunn WSH 158 145 77 0 222 0.260 0.356 0.41 10 J Werth PHI 156 164 82 13 246 0.296 0.388 0.41 G試合数 H安打数 BB四球 SB盗塁 AVG打率 OBP出塁率 AVG2第二の打率
となる。
100四球、9盗塁のBautistaが1位になっている。レッドソックスの選手が2名いることも興味深い。フィルダー息子はここでも8位。
第二の打率はシングルヒッター以外の選手の特徴を知るための批評なので仕方ないが、イチローはベスト100に入らない。
日本人選手は福留が35位、松井が77位
No Name TEAM G H BB SB H+BB AVG OBP AVG2 35 K Fukudome CHC 130 94 64 7 158 0.263 0.371 0.37 77 H Matsui LAA 145 132 67 0 199 0.274 0.361 0.32
松井はもう少し上の成績を残したかったところだろうが、この成績ならまだまだ必要とするチームはあるだろう。 福留はかなり不本意なシーズンを送ったといわれるが、この批評だとかなり良い成績を残している。 契約終了すれば日本へ復帰との噂もあるが、メジャー球団が手放さないのではないかと思う。
セイバーメトリクスの指標からするとイチローにとって厳しい評価となったが、 もちろんセイバーメトリクスが絶対という訳ではない。
今回のエントリーを書くにあって、各選手の数値はメジャーリーグ公式HPを参考にした。
